ニュージーランドは2015年から2016年にかけて、国旗を変えるかどうかを問う国民投票を2度にわたって行いました。寄せられたデザイン案は1万点以上、かかった費用は2,600万ニュージーランドドルにのぼります。
それだけの手間と費用をかけておいて、国民が選んだのは「今の旗のまま」でした。そもそもこの国の国旗の歴史は、「旗がなくて困った」ある事件から始まっています。
ニュージーランドってどんな国?国旗の基本データ
| 正式名称 | ニュージーランド |
| 人口 | 約520万人 |
| 首都 | ウェリントン |
| 現行デザインの承認 | 1869年10月23日 |
| 国旗として法制化 | 1902年3月24日 |
| 縦横比 | 1:2 |
始まりは「旗がない船」の差し押さえだった
1830年、ニュージーランドで造られた船サー・ジョージ・マレー号が、オーストラリアのシドニーで差し押さえられました。当時のイギリスの法律では、貿易船は国の旗を掲げなければならなかったが、ニュージーランドはまだイギリスの植民地ではなく、掲げるべき旗がなかったのです。
この問題を解決するため、イギリスの駐在官ジェームズ・バズビーは旗を定めることを急いです。1834年3月20日、マオリの首長たちが集まり、宣教師ヘンリー・ウィリアムズが用意した3つの案の中から投票で1つを選びました。これが最初の旗「ニュージーランド部族連合の旗」です。
現在のデザインは、もともと政府の船の旗だった
1840年にワイタンギ条約が結ばれると、ニュージーランドではイギリスのユニオンジャックが使われるようになりました。
現在の国旗のもとになったのは、1869年にイギリス海軍の士官アルバート・ヘイスティングス・マーカムが考案した旗です。青地の左上にユニオンジャック、右側に南十字星を配したデザインで、同年10月23日に承認されました。当初は政府の船だけが使う旗だったが、1902年に法律によって正式な国旗となりました。
赤い4つの星は、大きさが少しずつ違う
右側に描かれた4つの星は、南半球の夜空を代表する南十字星を表しています。白いふちどりのある赤い五角の星で、よく見ると大きさが少しずつ異なっています。
よく似たオーストラリアの国旗との違いも、この星にあります。オーストラリアの星は白一色で、南十字星が5つ、さらにユニオンジャックの下に大きな星がひとつあります。星が赤ければニュージーランド、白ければオーストラリア。これだけ覚えておけば大丈夫です。
1万点の案と2度の投票、それでも変わらなかった
オーストラリアと紛らわしいこと、ユニオンジャックが植民地時代を思わせることなどから、国旗を変えようという声は以前からありました。2014年、ジョン・キー首相が国民投票の実施を発表します。
一般から集まったデザイン案は1万292点。そこから40点、さらに4点へと絞り込まれ、SNSでの後押しを受けた「レッド・ピーク」という案が加わって、最終候補は5点となりました。レーザー光線を放つキーウィを描いた案が海外で話題になるなど、選考は国外からも注目を集めました。
2015年11月から12月の1回目の投票では、カイル・ロックウッドがデザインした、国を象徴するシダの葉「シルバーファーン」を描いた旗が新国旗の候補に選ばれました。しかし2016年3月の2回目の投票では、現行の国旗が56.7%、新しい旗が43.3%という結果になり、国旗は変わらないことが決まりました。
まとめ
ニュージーランドの国旗の歴史は、旗がないために船が差し押さえられるという出来事から始まりました。政府の船の旗として生まれたデザインが、やがて国全体の旗になっています。
巨額の費用をかけた国民投票を経ても変わらなかったことで、赤い南十字星の旗は、あらためて国民に選ばれた旗になったともいえます。
国旗の形や色をどれだけ覚えられたか、ぜひノーマルモードのクイズで力試ししてみてください。