世界で最もよく知られた国旗のひとつ「ユニオンジャック」。実はこの旗、法律によって正式な国旗と定められたことが一度もないという、意外な事実をご存知でしょうか。
しかもこの旗、よく見ると左右非対称です。今回はユニオンジャックの成り立ちと、知られざる雑学を掘り下げていきます。
イギリスってどんな国?国旗の基本データ
| 正式名称 | グレートブリテン及び北アイルランド連合王国 |
| 人口 | 約6,700万人 |
| 首都 | ロンドン |
| 現行デザイン確定 | 1801年 |
| 縦横比 | 1:2 |
| 通称 | 「ユニオンジャック」 |
3つの十字が重なってできた「合体旗」
ユニオンジャックは、イングランドの聖ジョージ十字(白地に赤十字)、スコットランドの聖アンドリュー十字(青地に白いX字)、アイルランドの聖パトリック十字(白地に赤いX字)という、3つの守護聖人の旗を重ね合わせて作られています。
最初の統合が行われたのは1606年4月12日のこと。イングランド王位を継承したスコットランド王ジェームズ6世(イングランド王としてはジェームズ1世)の王令により、聖ジョージ十字と聖アンドリュー十字を合わせた初代ユニオンフラッグが誕生しました。当初は船舶用の旗でした。
現在の形になったのは1801年のことです。この年に成立した連合法でアイルランドが加わったことを受け、聖パトリック十字が新たに追加されました。
実は「左右非対称」— 紋章学のテクニックが生んだ複雑なデザイン
ユニオンジャックをよく見ると、斜めの縞模様が左右対称になっていないことに気づきます。
これは、スコットランドの聖アンドリュー十字とアイルランドの聖パトリック十字という2つの斜め十字を、1枚の旗の中で両方とも見えるように重ねる必要があったためです。
「カウンターチェンジ」と呼ばれる紋章学のテクニックを使い、白の縞のすぐあとに赤の縞が時計回りに続くよう配置されています。この順序が、スコットランドを優先する序列を反映しているとも解釈されています。
上下を逆さまに掲げると「遭難信号」になる
この左右非対称なデザインのおかげで、ユニオンジャックには実は「正しい向き」が存在します。
見分け方はシンプルです。旗竿側の上方にある太い白の斜め線が、右側の下方向に向かって伸びていれば正しい向きになります。
これが逆さまになっていると、伝統的に侮辱や遭難信号を意味するとされ、強い慣習として今も受け継がれています。
なぜウェールズの旗は入っていないのか
ユニオンジャックには、イングランド・スコットランド・アイルランドの旗は入っているが、ウェールズの赤い龍の旗は含まれていません。
理由は、統合のタイミングの違いにあります。ウェールズは1282年、指導者ルウェリン・アプ・グリフィズが敗死したことで、すでにイングランドの支配下に入っていました。
その後ウェールズは長らく「イングランドの一地域」とみなされていたため、1606年や1801年に旗が制定された際、スコットランドやアイルランドのような別個の王国としては扱われなかったのです。
実は法律で「国旗」と定められたことは一度もない
ユニオンジャックにまつわる、もうひとつの意外な事実があります。この旗は、議会の制定法によって正式に「国旗」と定められたことが、実は一度もないのです。
国旗としての地位は、あくまで長年の慣習と使用の積み重ねによって確立されてきたものだといいます。
1933年には当時の内務大臣が「ユニオンフラッグは国旗であり、国民が陸上で正しく掲げることができる」と公式に発表し、これが広く国旗として認知される後押しとなりました。
一方で海上での扱いは別で、ユニオンジャックは本来、海軍の艦首旗や提督旗として使われるものであり、民間の船が掲げることは認められていません。
まとめ
3つの国の守護聖人の旗を重ね合わせ、400年以上かけて今の形になったユニオンジャック。
左右非対称なデザインや、法律に基づかない国旗という成り立ちを知ると、見慣れたこの旗もまた違って見えてくるのではないでしょうか。
国旗の形や色をどれだけ覚えられたか、ぜひノーマルモードのクイズで力試ししてみてください。