赤、青、緑、黒、金、白。南アフリカの国旗には6つもの色が使われています。採用された当時、紋章などを使わずに6色を用いた国旗は、世界でこれひとつだけでした。
これだけ色があれば、それぞれに立派な意味がありそうです。ところが南アフリカ政府の答えは意外なもの。「色に決まった意味はありません」と、はっきり言っているのです。
南アフリカってどんな国?国旗の基本データ
| 正式名称 | 南アフリカ共和国 |
| 人口 | 約6,300万人 |
| 首都 | プレトリア(行政)ほか |
| 制定日 | 1994年4月27日 |
| デザイン | フレデリック・ブラウネル |
| 通称 | 「レインボー・フラッグ」 |
歴史的な選挙の日に、新しい旗が掲げられた
南アフリカでは長いあいだ、人種によって人々を分け隔てる「アパルトヘイト」という政策が続いていました。それが終わり、すべての人種が投票できる初めての選挙が行われたのが1994年4月27日です。
現在の国旗は、この選挙に合わせて採用されました。デザインされたのは同じ年の3月。それまでの国旗に代わる新しい旗が、大急ぎで用意されたのです。
6色は、2つの歴史を足し合わせたもの
6色のうち黒・緑・金の3色は、アパルトヘイトと闘ってきた政党、アフリカ民族会議(ANC)の旗の色です。
残りの赤・白・青は、オランダとイギリスの国旗に使われている色。この土地に入植したヨーロッパ系の人々の歴史を表しています。白と青は、それまでの南アフリカの国旗にも使われていました。
つまりこの旗は、国の歴史に登場する旗の色をひとつにまとめたものなのです。
唯一の意味は「Y字」にある
政府の説明によれば、この旗でただひとつ意味を持つのは、横向きのY字の形です。
左側で2つに分かれた帯が、中央でひとつになり、右へとまっすぐ伸びていく。これは「さまざまな人々が合流し、ひとつになって前へ進む」ことを表しています。
デザインしたフレデリック・ブラウネルによると、このY字は、彼が子どものころから親しんできた教会の司祭の服の模様からヒントを得たものだそうです。
なぜ「色に意味はない」のか
色ごとに意味を決めると、「この色は誰のもの」「この色はあの人たちのもの」という線引きが生まれてしまいます。長く人々が分けられてきた国だからこそ、色に決まった意味を持たせなかった、と考えると納得がいきます。
ちなみに赤の色合いも、慎重に選ばれました。イギリス系の人々が好む真っ赤でも、オランダ系の人々が好むオレンジでもなく、その中間の「チリ・レッド」が採用されています。
まとめ
南アフリカの国旗は、対立してきた人々の歴史を1枚にまとめた旗です。6つの色に決まった意味はなく、意味があるのは、分かれた道がひとつになるY字の形だけ。
「色の意味を教えてください」と聞かれて「ありません」と答える国旗。それ自体が、この国の出した答えなんですね。
国旗の形や色をどれだけ覚えられたか、ぜひノーマルモードのクイズで力試ししてみてください。