フィリピンの国旗は、上が青、下が赤の2色に、白い三角形と太陽、3つの星を組み合わせたデザインです。ところがこの旗、ある条件のもとでは上下をひっくり返し、赤を上にして掲げることが法律で定められています。
その条件とは、なんと「国が戦争状態にあること」。平時と戦時で掲げ方が変わる国旗は、世界でもフィリピンだけだといわれています。
フィリピンってどんな国?国旗の基本データ
| 正式名称 | フィリピン共和国 |
| 人口 | 約1億1,500万人 |
| 首都 | マニラ |
| 初掲揚 | 1898年5月28日 |
| 縦横比 | 1:2 |
| 現行の国旗法 | 1998年2月12日 |
香港で、3人の手によって縫われた最初の旗
この国旗をデザインしたのは、スペインからの独立運動を率いたエミリオ・アギナルドです。亡命先の香港で構想を練り、1898年に最初の1枚が縫い上げられました。
針を取ったのは、マルセラ・アゴンシリョと、当時5歳だった娘のロレンサ、そして独立運動の英雄ホセ・リサールの姪にあたるデルフィナ・エルボサ・ナティビダッドの3人でした。
旗は1898年5月28日、スペイン軍を破ったアラパンの戦いのあとで初めて掲げられました。そして同年6月12日、カビテ州カウィットにあるアギナルドの自宅で独立が宣言された際に、正式に披露されています。
太陽の8本の光と、3つの星が表すもの
白い三角形は、自由・平等・友愛を表します。もともとは独立運動を担った秘密結社カティプナンを象徴するものでした。
三角形の中央にある太陽からは、8本の光が伸びています。これは1896年の革命で最初に立ち上がった8つの州を表したものです。三角形の3つの角にある星は、ルソン島、ビサヤ諸島、ミンダナオ島という、国を構成する3つの主要な地域を示しています。
青は平和・真実・正義を、赤は愛国心と勇気を表すとされます。
戦争になると、赤が上になる
フィリピンの国旗は、平時には青を上にして掲げます。しかし国が戦争状態に入ると、上下を入れ替えて赤を上にします。勇気を表す赤を前面に出すことで、国が戦いのさなかにあることを示すのです。
実際に赤を上にした掲げ方は、1899年からのアメリカとの戦争や、第二次世界大戦中(1941〜1945年)に行われています。また1980年代後半、コラソン・アキノ政権に対するクーデター未遂が相次いだ時期にも用いられました。
そのため、うっかり上下を間違えると大ごとです。2010年にはニューヨークで開かれた国際会合で、フィリピン国旗が逆さまに掲げられる出来事があり、アメリカ側が「意図的なものではなかった」と説明する事態になりました。
アメリカ統治下では、掲げること自体が禁じられた
スペインからの独立を宣言したフィリピンだったが、その後はアメリカの統治下に置かれることになります。1907年には国旗法が制定され、フィリピン国旗やカティプナンに関わる旗を掲げることが違法とされました。
この法律が廃止され、国旗が再び掲げられるようになったのは、1919年10月24日のことでした。
何度も変わった「青」の色
フィリピン国旗の青は、時代によって色合いが変わってきました。1955年にいったん標準の色が定められたが、1985年にはマルコス大統領が「本来の色に戻す」として、より明るい青に変更しています。
ところが翌年の政変でマルコス政権が倒れると、1987年にアキノ大統領がもとの青に戻しました。そして独立100周年にあたる1998年、国旗法によってロイヤルブルーが正式な色と定められ、現在に至っています。
まとめ
フィリピンの国旗は、亡命先の香港で縫われ、独立宣言とともに掲げられた旗でした。太陽の光や星のひとつひとつに、独立運動の記憶と国の成り立ちが込められています。
そして何より、戦争になれば上下を入れ替えるという決まりは、世界でもこの国旗だけのものです。青が上にあるフィリピン国旗は、それ自体が平和のしるしでもあります。
国旗の形や色をどれだけ覚えられたか、ぜひノーマルモードのクイズで力試ししてみてください。