国の指導者が亡くなったときや大きな災害があったとき、多くの国では国旗を半旗にして弔意を表します。ところがサウジアラビアの国旗は、どんなときでも決して半旗にされません。
理由は、旗に書かれた文字にあります。緑地に白く記されているのは、イスラム教で最も大切にされる言葉です。この言葉があるために、サウジアラビアの国旗には、他の国の旗にはない決まりごとがいくつもあります。
サウジアラビアってどんな国?国旗の基本データ
| 正式名称 | サウジアラビア王国 |
| 人口 | 約3,500万人 |
| 首都 | リヤド |
| 制定日 | 1973年3月15日 |
| 縦横比 | 2:3 |
| 図柄 | シャハーダ(信仰告白)と剣 |
書かれているのは、イスラム教の信仰告白
国旗の中央に書かれているのは「シャハーダ」と呼ばれる信仰告白の言葉で、「アッラーのほかに神はなく、ムハンマドはアッラーの使徒である」という意味です。スルス体という、流れるような曲線が特徴のアラビア書道の書体で記されています。
文字の下に描かれた剣は、安全と正義を表すとされています。
半旗にしないのは、聖なる言葉を下げないため
シャハーダはイスラム教徒にとって神聖な言葉です。そのため、この言葉が書かれた旗を下げることは、神への冒涜にあたると考えられています。サウジアラビアの国旗が弔意を表すときにも半旗にされないのは、このためです。
同じ理由から、国旗をTシャツなどの商品に使うことも、ふつうは行われません。
裏から見ても読めるよう、2枚を合わせて作る
布の旗というのは、裏から見ると図柄が左右反転してしまいます。文字の書かれた旗では、裏側の文字が鏡文字になってしまうことになります。
サウジアラビアの国旗は、これを避けるために表と裏をまったく同じ図柄にして作られます。どちらの面から見ても、シャハーダが右から左へ正しく読めるようにするためです。
サッカーボールに印刷されて、抗議が起きた
聖なる言葉を含む国旗は、扱いを誤ると大きな問題になります。2002年のサッカー・ワールドカップでは、出場国の国旗をあしらったボールが計画されましたが、サウジアラビアが抗議しました。信仰告白の言葉を足で蹴ることになってしまう、というのがその理由でした。
2007年には、アメリカ軍がアフガニスタンで各国の国旗入りのサッカーボールを配ったところ、サウジアラビアの国旗が含まれていたことから、現地で抗議デモが起きています。
剣が加わり、今の形になるまで
この旗のもとになったのは、18世紀からアラビア半島中央部のナジュド地方で使われていた、シャハーダを記した旗です。
1921年、のちにサウジアラビアを建国するアブドゥルアズィーズが、この旗に剣を加えました。1938年ごろにはほぼ現在の形になりましたが、当時の剣は今よりも刃が大きく反った形をしていました。現在のデザインが正式に定められたのは、1973年3月15日のことです。
まとめ
サウジアラビアの国旗は、信仰告白の言葉を中心に据えた旗です。決して半旗にしないこと、裏から見ても正しく読めるように作ることなど、その決まりごとはすべて、言葉への敬意から生まれています。
図柄や色だけでなく、扱い方そのものに国の考え方が表れている、世界でも特別な国旗です。
国旗の形や色をどれだけ覚えられたか、ぜひノーマルモードのクイズで力試ししてみてください。