もし国連の会議場でこの2つの国旗が並んだら、見分けられる人はほとんどいないでしょう。ヨーロッパの小国モナコの国旗は、遠く離れたアジアの国インドネシアの国旗と、色も配置もまったく同じなのです。
しかも1945年、この”そっくり事件”をめぐって実際に外交上のやり取りがあったというから驚きです。今回はモナコ国旗にまつわる意外な雑学を掘り下げていきます。
モナコ国旗の基本データ
| 正式名称 | モナコ公国 |
| 面積 | 約2.1km²(世界で2番目に小さい国) |
| 人口 | 約4万人 |
| 首都 | モナコ(都市国家のため首都という概念自体がほぼない) |
| 国旗制定日 | 1881年4月4日 |
| 縦横比 | 4:5(正方形に近い) |
| 政体 | 君主制(グリマルディ家による統治) |
インドネシア国旗と「同じ色・同じ配置」な理由
モナコの国旗は、上半分が赤、下半分が白というシンプルな横二色旗です。そしてこのデザイン、太平洋を挟んで遠く離れたインドネシアの国旗と、色使いも配置もまったく同じなのです。
モナコ側の赤白は1339年から続くグリマルディ家の伝統色に由来し、1881年に正式な国旗として制定されました。一方インドネシア側の赤白は、14世紀の「マジャパヒト王国」の旗にルーツを持つとされ、こちらも独自に長い歴史を歩んできた配色です。
つまりどちらも「相手をマネした」わけではなく、まったく無関係に、それぞれの歴史の中で同じ配色にたどり着いたというのが実情です。
1945年、モナコがインドネシアに抗議した過去
1945年8月17日、インドネシアはオランダからの独立を宣言し、この赤白のデザインを正式な国旗として採用しました。これに対し、モナコ側が国旗の類似について異議を申し立てたと伝えられています。
しかしインドネシアは、自国の赤白のルーツがモナコの正式な国旗制定よりもさらに古い時代にさかのぼると主張し、デザインの変更を受け入れませんでした。結局、話し合いは決着がつかないまま、両国は現在まで同じ配色の国旗を掲げ続けています。
唯一の違いは「縦横比」|五輪やGoogleでも混同される事態に
両国の国旗を見分ける方法は、実質的に一つしかありません。それが縦横比の違いです。モナコは4:5とほぼ正方形に近い比率なのに対し、インドネシアは2:3という、より横長の比率を採用しています。
ところが国際大会などでは、国旗が統一の比率(2:3など)で表示されることが多く、その場合モナコとインドネシアの国旗は見分けがつかなくなってしまいます。実際にオリンピックの中継や国際大会の資料で両国の国旗が取り違えられる例が何度も報告されており、Googleの検索結果でインドネシアの国旗としてモナコの国旗が表示されてしまったこともあるそうです。
実はポーランド国旗とも”裏表”の関係
赤白のシンプルな二色旗という点では、ポーランドの国旗もこの話に絡んできます。ポーランドの国旗は上が白、下が赤と、モナコ・インドネシアとはちょうど色の並びが逆になっているのです。
国旗が誤って上下逆さまに掲げられてしまうと、モナコやインドネシアの国旗がポーランドの国旗に見えてしまうという、国際儀礼上のミスにもつながりかねません。実際、国際大会でこうした掲揚ミスが起きたケースも報告されています。
建国のきっかけは、修道士に変装した男による”要塞乗っ取り”
国旗の色の由来となったグリマルディ家がモナコを手に入れた経緯も、なかなかドラマチックです。1297年、フランソワ・グリマルディという人物が、なんとフランシスコ会の修道士に変装してモナコの要塞に潜入し、これを奪い取ったと伝えられています。
この”だまし討ち”のような出来事が、現在まで続くグリマルディ家によるモナコ統治の出発点になりました。国旗に使われている赤と白は、この一族の紋章の色がそのまま受け継がれたものなのです。
まとめ
モナコの国旗は、修道士に変装した男が要塞を奪い取ったという建国伝説から生まれた赤白の配色が、はるか遠くのインドネシアの国旗と偶然一致してしまったという、なんとも数奇な巡り合わせを持つ国旗でした。
縦横比という小さな違いだけで見分けるしかない2つの国旗があるという事実は、国旗の世界の奥深さを感じさせてくれます。
ほかの国の国旗についても、クイズ形式で楽しく学べるノーマルモードでぜひ試してみてください。